院長の糖尿病ノート
一般内科
糖尿病とワクチン -ワクチンはした方がいいの?-
2018.10.01
厚生労働省の統計によると、日本人の死因として肺炎が増加しており、2011年には脳血管疾患を抜き死因の第3位になりました。
特に、糖尿病などの基礎疾患を持つ患者さんは肺炎になりやすく、高齢者では致命的となります。
肺炎などの呼吸器感染症に関する身近なワクチンとして、インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンがあります。
インフルエンザワクチンは、そのシーズンに流行するウイルス株を予測して作製されます。インフルエンザウイルスは少しずつ変異しており、流行するウイルスと一致しないと効果が薄くなることがあります。2015年から効果の向上目的に、それまでの3価(3種類のウイルス抗原)から4価になりました。
インフルエンザに感染したときに重症化する要因の一つとして、糖尿病があります。糖尿病の患者さんは、毎年忘れずに流行前にワクチンを接種するように心掛けて下さい(平成30年度インフルエンザ予防接種のお知らせ)。
また、肺炎球菌ワクチンについては、2014年10月から23価肺炎球菌ワクチンが65歳以上に定期接種化されました(https://motomachi-clinic.sakura.ne.jp/news/肺炎球菌ワクチン接種について/ )。こちらは1回の接種で5年間免疫が持続します。インフルエンザ感染に合併して起こる細菌性肺炎の半数以上が肺炎球菌によるため、インフルエンザワクチンと高齢者用肺炎球菌ワクチンを併用することによって、肺炎の重症化を避けることが期待されます。
ワクチンを含め、普段から感染予防にしっかりと取り組みましょう。
食中毒から身を守ろう(管理栄養士)
2018.06.05
管理栄養士からのコラムです
管理栄養士 石田
やっぱりアルコールは尿酸値に悪い
2017.05.29
アルコール飲料を飲むと、アルコールが体内で分解される時に尿酸が作られること、その際にできる乳酸によって、尿酸が排泄されにくくなり体内に尿酸を蓄積すること、一部のアルコール飲料には尿酸の元になるプリン体が多く含まれていることなどにより、尿酸値が上昇します。プリン体が含まれる量は、アルコール飲料の種類により異なりますが、アルコールが代謝されるときに尿酸値が上がりますので、種類を問わずアルコールは痛風や尿酸値にはよくなく、アルコール摂取量が多いほど痛風の発症リスクは高まります。
プリン体はビールに最も多く含まれ、ウイスキー、ブランデー、焼酎などの蒸留酒にはあまり含まれていません。低プリン体ビールはプリン体が少ないので、通常のビールよりは悪くないと考えられますが、長期的な影響についてはまだ不明です。アルコールの適量は、ビール中瓶1本(500ml)、日本酒1合(180ml)、ワイングラス2杯(180ml)、焼酎0.6合(110ml)程度と考えられます。適量を守って、上手にお酒と付き合いましょう。
家庭血圧の測定が役に立つ
2017.05.15
最近、医療機関で血圧を測るより、自宅で本人が測る方が血圧値の信頼度が高いことがわかってきました。医療機関では日常の環境とは異なる状況での測定のため、変動する血圧の1時点をみており普段の血圧を必ずしも反映しない場合が多く、より正確に自分の血圧の状態を知るには、家庭での測定が大切になってくるのです。
以前より、医師や看護師が診察室で測定する「診察室血圧」と、自宅で本人が測定する「家庭血圧」には差があることが知られていました。診察室で測ると緊張して血圧が上がってしまう「白衣高血圧」はよく知られていますが、反対に普段は血圧が高いのに、診察室では低い「仮面高血圧」の人もいます。仮面高血圧の人は発見されにくいため、治療によりきちんと血圧コントロールができている人に比べ、脳卒中や心筋梗塞のリスクが約3倍も高いことがわかっています。こういったことから、診察室血圧と家庭血圧にズレある場合、医師は家庭血圧を優先して治療方針を決めるのが最近の考え方です。
正しい家庭血圧の計り方
・上腕で測るタイプの血圧計で測る。
・イスに座り、1〜2分安静にして測る。
・腕を少し上げ、マンシェット(腕帯)を心臓の高さに保ち測る。
・朝:起床から1時間以内に、排尿後、食事前・服薬前に1〜2分安静にして測る。
・就寝前:布団に入る前に1〜2分安静にして測る
・2回測定し平均をとる。必ず記録する。
・4回以上は測定しない。
糖尿病の患者さんはもちろん、血圧が高めで気になる人も、家庭血圧を定期的に測定し、自分の血圧の状態を把握して、生活習慣を改善し、脳や心臓の病気の予防に努めましょう。