院長の糖尿病ノート

糖尿病の薬を飲むと太る?

2017.06.25

 

「糖尿病の治療薬を飲み始めたあとに太ってしまった」と患者さんが受診されることがあります。

 

糖尿病の内服薬には、膵臓からのインスリンの分泌を促進する(インスリンの量を増やす薬)と、インスリン抵抗性を改善する(インスリンの効きをよくする)薬、インスリン作用には直接関与しない薬があります。

 

生活習慣病である2型糖尿病(糖尿病患者さんの9割)には、インスリンの量が少ないことが主原因である場合と、インスリン抵抗性が強いことが主原因である場合の2パターンがあり、それぞれの要素の比率も患者さんによって異なります。

 

インスリンの効きが悪い患者さんにインスリンの分泌を促進する薬を投与してしまうと、肥満を助長してしまい、血糖値は良くなっても長期的には好ましくありません。長期間飲み続けることによって膵臓の傷みが早まってしまったり、動脈硬化の進行や低血糖などで余命が短縮したりしてしまうことさえあります。

また、患者さんの年齢や身体の状態によっても、血糖コントロール目標や治療薬が変わってきます。

 

糖尿病専門医は、糖尿病患者さんが今どういう病態(病気の状態)なのかを的確に判断し、患者さん一人ひとりに最も適切な治療を提供することができます。

 

目先の血糖コントロールだけでなく、長期的な視点から適切な治療を受けて頂きたいと思います。

 

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