院長の糖尿病ノート

シックデイ sick day

2017.06.06

シックデイ(sick day)とは、糖尿病の患者さんが他の病気にかかって体調を崩しているときのことです。特に、発熱、下痢、嘔吐、食欲不振のため、食事が出来ないときをさします。普段は血糖コントロールが良好でも、このような状態では著しい高血糖が起こったり、ケトアシドーシスに陥ることがあります。インスリン治療中の患者さんは、食欲不振で食事が摂れなくても、自己判断でインスリン注射を中断しないで下さい。

 

○原因

◆体にストレスが加わると、副腎から血糖を上昇させる働きのあるホルモン(アドレナリンなどのカテコラミン、グルココルチコイドなど)の分泌が誘発されます。

◆食事が普段通りに摂れないと、糖質の摂取量が減り、体内で脂肪分解が起こり、血中のケトン体が増加することがあります。

◆下痢、嘔吐によって、脱水や電解質異常を起こすことがあります。

◆反対に、いつものインスリンや内服薬の量では低血糖になることがあります。

 

○治療

まずは十分な水分を摂取し、脱水を防ぐようにして下さい。食欲がなくても口当たりがよく消化の良い食べ物(おかゆ、スープ、麺類、果物、アイスクリーム等)を選び、できるだけ摂取するようにして下さい。食事量に応じて内服薬、インスリンの量を調節して下さい。血糖測定している人はなるべく頻回に測定しましょう。全く食事が摂れない時や、発熱・高血糖が続く時は、速やかに医療機関に連絡・受診して下さい。

 

表:シックデイの時の内服薬、インスリンの量

食事量 内服薬 インスリン
通常通り 通常通り 通常通り
通常の半分量 *通常の半分量 *通常の半分量
全く摂れない 中止 *減量

*患者さんの状態や服用中の薬剤により異なります。あらかじめ主治医に確認しておきましょう。

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