院長の糖尿病ノート

糖尿病の食事療法

2017.04.18

糖尿病の患者数は年々増え続け、最も新しい厚労省の患者調査では患者数は316万6,000人となり、前回調査の270万から46万6,000人増えて過去最高となっています。
また、国民健康・栄養調査では、糖尿病が強く疑われる成人男女は約950万人、病気の可能性を否定できない「糖尿病予備群」は1,100万人にのぼります。
このような患者数の急激な増加の背景には、食生活の欧米化やモータリゼーションによる運動不足、ストレスといった生活習慣の問題があります。
そこで、糖尿病の改善には、食事や運動といった日常生活の基本的な生活習慣を是正することが不可欠です。
その中でも食事療法は、糖尿病治療の基本です。
では、糖尿病の食事療法はどうすればいいのでしょうか?

●エネルギー量は適正ですか?
糖尿病の食事療法の基本は、適切な栄養バランスを保ちつつ、総エネルギー量(カロリー)を適正化(摂りすぎている人は少なく)することです。
適正なエネルギー摂取の維持は、インスリン分泌能の改善や体重減少によるインスリン抵抗性の改善が期待されます。
総エネルギー量の決定方法は以下のとおりです。
糖質、脂質、タンパク質の三大栄養素をバランスよく摂りながら全体のカロリーを減らして適正化します。
極端なエネルギー制限や、糖質制限を行うこともありますが、患者さんの日常生活の中で無理なく続けられるようにするということが大切です。

目標とすべき摂取エネルギー量の決め方
1.標準体重を求める
BMIを使って:(身長m)2 x 22 = Kg

※例えば、身長160cm(1.60m)の人は、
1.60 x 1.60 x 22 = 約56kg

2.摂取エネルギー量を決める
〇軽労作(デスクワークが多い職業、主婦など) 25~30kcal x 標準体重(kg)
〇普通の労作(立ち仕事が多い職業など) 30~35kcal x 標準体重(kg)
〇重い労作(力仕事が多い職業、スポーツ選手など) 35kcal x 標準体重(kg)

 

 

●規則正しい食事をしていますか?
1日2食または1食といった食生活の方が多くみられます。
せっかく1日のエネルギー量が適正でも、食事回数が少なく1回の食事量が多いと、食後の血糖値が上がりやすくなり、太りやすくなってしまいます。
食事は、1回の量がなるべく均等になるように3食に分け、決まった時間に規則正しく食べるようにしましょう。
また、間食はできる限り減らしましょう。

●栄養相談について
当クリニックでは、管理栄養士による個別の栄養相談を行っております。
食事療法に関するご相談や、詳しい食事療法の話をおききになりたい方は、医師またはスタッフにお伝え下さい。

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