院長の糖尿病ノート

糖尿病内科

家庭血圧の測定が役に立つ

2017.05.15

最近、医療機関で血圧を測るより、自宅で本人が測る方が血圧値の信頼度が高いことがわかってきました。医療機関では日常の環境とは異なる状況での測定のため、変動する血圧の1時点をみており普段の血圧を必ずしも反映しない場合が多く、より正確に自分の血圧の状態を知るには、家庭での測定が大切になってくるのです。

 

以前より、医師や看護師が診察室で測定する「診察室血圧」と、自宅で本人が測定する「家庭血圧」には差があることが知られていました。診察室で測ると緊張して血圧が上がってしまう「白衣高血圧」はよく知られていますが、反対に普段は血圧が高いのに、診察室では低い「仮面高血圧」の人もいます。仮面高血圧の人は発見されにくいため、治療によりきちんと血圧コントロールができている人に比べ、脳卒中や心筋梗塞のリスクが約3倍も高いことがわかっています。こういったことから、診察室血圧と家庭血圧にズレある場合、医師は家庭血圧を優先して治療方針を決めるのが最近の考え方です。

 

正しい家庭血圧の計り方

・上腕で測るタイプの血圧計で測る。

・イスに座り、1〜2分安静にして測る。

・腕を少し上げ、マンシェット(腕帯)を心臓の高さに保ち測る。

・朝:起床から1時間以内に、排尿後、食事前・服薬前に1〜2分安静にして測る。

・就寝前:布団に入る前に1〜2分安静にして測る

・2回測定し平均をとる。必ず記録する。

・4回以上は測定しない。

 

糖尿病の患者さんはもちろん、血圧が高めで気になる人も、家庭血圧を定期的に測定し、自分の血圧の状態を把握して、生活習慣を改善し、脳や心臓の病気の予防に努めましょう。

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糖尿病の薬物治療

2017.04.20

食事療法・運動療法のみでは効果不十分な場合は、薬物療法を行います。

様々な種類の薬があり、インスリンの分泌を促す薬剤と、インスリンの量は変えずにインスリンの効果を増強させる薬剤、ブドウ糖の吸収や排泄を調節する薬に分けられます。

 


また注射薬にはインスリンとGLP-1受容体作動薬があり、いずれも自己注射を行います。

薬剤は、インスリンの分泌状態や、空腹時・食後血糖のいずれが高いのか・年齢・合併症の状況・肝機能・腎機能などを総合的に判断して決定します。
1種類の薬剤でコントロールが得られない場合は、2種類、さらにそれ以上の薬剤を組み合わせることもあります。
最も適した薬剤を選択することが、糖尿病専門医の重要な役割です。
インスリン分泌を促す薬剤を内服すると、低血糖を起こすことがあります。
いずれの薬剤も何らかの副作用が起こる可能性がゼロではありませんので、薬の使用は最小限にすることが望まれます。
そのためには、食事・運動療法による生活習慣の改善が最も大切です。
当クリニックでは、薬剤の使用を必要最小限にすることを基本方針とし、食事療法などの療養指導に力を入れています。
すでに薬を服用している患者さんは、食事指導などで薬を減らせることが私たちスタッフの目標です。
1型糖尿病などのインスリンが分泌できない患者さん、妊婦さん、手術や重症感染症併発時などではインスリン注射が必要です。

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糖尿病の食事療法

2017.04.18

糖尿病の患者数は年々増え続け、最も新しい厚労省の患者調査では患者数は316万6,000人となり、前回調査の270万から46万6,000人増えて過去最高となっています。
また、国民健康・栄養調査では、糖尿病が強く疑われる成人男女は約950万人、病気の可能性を否定できない「糖尿病予備群」は1,100万人にのぼります。
このような患者数の急激な増加の背景には、食生活の欧米化やモータリゼーションによる運動不足、ストレスといった生活習慣の問題があります。
そこで、糖尿病の改善には、食事や運動といった日常生活の基本的な生活習慣を是正することが不可欠です。
その中でも食事療法は、糖尿病治療の基本です。
では、糖尿病の食事療法はどうすればいいのでしょうか?

●エネルギー量は適正ですか?
糖尿病の食事療法の基本は、適切な栄養バランスを保ちつつ、総エネルギー量(カロリー)を適正化(摂りすぎている人は少なく)することです。
適正なエネルギー摂取の維持は、インスリン分泌能の改善や体重減少によるインスリン抵抗性の改善が期待されます。
総エネルギー量の決定方法は以下のとおりです。
糖質、脂質、タンパク質の三大栄養素をバランスよく摂りながら全体のカロリーを減らして適正化します。
極端なエネルギー制限や、糖質制限を行うこともありますが、患者さんの日常生活の中で無理なく続けられるようにするということが大切です。

目標とすべき摂取エネルギー量の決め方
1.標準体重を求める
BMIを使って:(身長m)2 x 22 = Kg

※例えば、身長160cm(1.60m)の人は、
1.60 x 1.60 x 22 = 約56kg

2.摂取エネルギー量を決める
〇軽労作(デスクワークが多い職業、主婦など) 25~30kcal x 標準体重(kg)
〇普通の労作(立ち仕事が多い職業など) 30~35kcal x 標準体重(kg)
〇重い労作(力仕事が多い職業、スポーツ選手など) 35kcal x 標準体重(kg)

 

 

●規則正しい食事をしていますか?
1日2食または1食といった食生活の方が多くみられます。
せっかく1日のエネルギー量が適正でも、食事回数が少なく1回の食事量が多いと、食後の血糖値が上がりやすくなり、太りやすくなってしまいます。
食事は、1回の量がなるべく均等になるように3食に分け、決まった時間に規則正しく食べるようにしましょう。
また、間食はできる限り減らしましょう。

●栄養相談について
当クリニックでは、管理栄養士による個別の栄養相談を行っております。
食事療法に関するご相談や、詳しい食事療法の話をおききになりたい方は、医師またはスタッフにお伝え下さい。

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糖尿病の運動療法

2017.04.18

仕事はデスクワークでほぼ1日座りっぱなし、いつもエレベーターを使う、外出には、近くでもつい車を使ってしまう・・・。
このような生活では、どうしても運動不足になりがちです。

●どんな運動がいいの?
運動療法の基本は、ウオーキング、ラジオ体操、サイクリング、水泳などの有酸素運動です。
中でもウオーキングは手軽に取り組めるため、続けやすく最もお勧めです。
目安としては、週3日以上・合計150分以上(3日以上あけない)です。
また、運動開始後約20分までは、エネルギー源としてブドウ糖が消費され、それ以降は脂肪がエネルギー源として使われるため、できれば20分以上続けて運動しましょう。
時間を確保するのが難しい場合は、何度かに分けて合計30分以上確保するのでも効果は期待できます。また、食後1〜2時間がお勧めです。

 


また、ダンベルやチューブ、自分の体重などで負荷をかけて行うレジスタンス運動(筋力トレーニング)も効果的です。
特に高齢者の方は、筋肉が徐々に衰える「サルコペニア」と呼ばれる状態が心配となります。
筋肉が減ると、インスリンの効きが悪くなり(インスリン抵抗性)、糖尿病になりやすくなります。
レジスタンス運動により、筋肉を増やすと、インスリンの効きが良くなり、基礎代謝も増え、太りにくい体質になります。
有酸素運動とうまく組み合わせて行うと、ブドウ糖や脂肪を効率的に消費し、血糖値改善に一段と効果をもたらします。

 

●運動をするとどうなるの?
運動療法には、ただちに現れる効果(急性効果)と、ゆっくり現れ長期間継続する効果(慢性効果)があります。
ただちに現れる効果は、運動直後の血糖降下です。
長期間継続して現れる効果は、体重減少とインスリンが効きやすい体質になること(インスリン抵抗性の改善)です。
また、運動をすることによって、筋肉の量や筋力を維持できることにより将来寝たきりになる危険を減らし、心肺機能の維持・向上、ストレス発散などの効果も期待できます。

 

 

●運動の強さはどれくらいがいいの?
「少しきつい」程度がお勧めです。
50歳未満の患者さんは脈拍が1分間に120回、50歳以上の患者さんは1分間に100回になる程度の強さが目標です。
強度が弱すぎては運動効果が上がらず、強すぎると心臓に大きな負担がかかったり、関節などを痛めたりして危険です。
「歌は歌えないけれど、おしゃべりしながら続けられる」感覚です。

 

●注意点
合併症の状態や持病によっては運動が勧められない場合もありますので、運動を始める前に主治医と相談することが大切です。
また、運動を効果的に安全に行うためには、どんな種類の運動を、どれくらいの強さで、週何回ぐらい行うかが重要ですので、これも主治医に相談して下さい。
薬物療法を併用している場合は、運動中・運動後だけでなく予想外の時間に低血糖を起こす可能性があるので注意が必要です。
必ずブドウ糖を持ち歩くようにしましょう。運動療法も、食事療法と同様に、無理をせず、継続していけるように日常生活の中に取り入れていくことがポイントです。
自分に合った運動メニューを考えましょう。
また、「エレベーターより階段を使う」、「ちょっとした距離なら歩いて行く」など、日常生活の中でも身体を動かすことを意識して下さい。

 

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